「トラペジウム」を観た
トラペジウムを見てきた。
あらすじ
アイドルになることを目論む少女「東ゆう」は自身の住む「城州」地域の各方角から集めた少女によるユニット『東西南北』を組むべくメンバーを集める。お嬢様高校の南の星「華鳥蘭子」、高専に通う天才ロボット少女である西の星「大河くるみ」、小学校の頃の同級生でありボランティア活動に勤しむ北の星「亀井美嘉」の3人と友達になり、日々を共に過ごしながらアイドルへと少しずつ近づくために日々を過ごしていた。ある日、翁琉城でのガイドボランティアの活動をしていると、テレビの取材を受けることとなる。
みたいな。ざっくり。
おすすめできるか、というと少し悩む映画。
見終わって、「面白かった!」となる映画ではなかった。
「おもんねー」って映画でもなかった。
率直にいうとちょっと内容が薄い。
前半の異様なトントン拍子。この手の映画としてはあるあるやけど、主人公についての情報が薄いこととか、そういうのも相まってそれを強く感じたように思う。まぁ主人公についてわかることって「バレエをやってた」「カナダにいてた」「アイドルになりたい」くらい。あと、ビビるほどアイドル以外どうでもいいと思ってるってこと?
この前半の話の薄さが、「主人公のアイドル以外への興味の薄さを表した表現です」って言われたら納得はできるけど。いやま、尺的にこんなもんなんかな。
なんていうか、主人公の正義と視聴者の正義が全くもって噛み合わないまま話が進んで、問題が生じるから少し観ててイライラするところがあった。
このイライラしたっていうのは別に悪いところとか、ここがダメ!とかじゃなくて、ただの感想やねんけど。
基本的に主人公の一人称物語やから、その主人公の異常性っていうのが正常であるかの様に扱われたまま話が進行するっていう気持ち悪さ。そこに苦言を呈するものがいない心地悪さ。
まぁ主人公が極めて性格悪いんよな。
エゴ自体は主人公級なのよ。ルフィの海賊王への想いと同レベルの気持ちはある。多分。
ただ、周りを振り回し切るほどの膂力はなかったというか。
巻き込んで、振り回したけど力及ばず墜落させた、というような印象。
カリスマ性ってのが皆無であったのではないか。
それと、主人公自体が他のメンバーのことをあまり見てなかった。さっき言った通り、アイドル以外に今日がなく、そのレベルの情熱を他人にも求めるから。
東にとって西南北はただの装備品であって、その性能のみを求めてたから。
まぁそりゃそうなるよね、って感じではあった。
その辺は後々ちゃんと自覚するところではあるんやけど。
自分の中で目標や『幸せ』が確立しすぎてて、暴走してしまっていたところがあったからな。キツイ言い方すると、宗教にハマった人のソレに高い。そう考えるのは間違いではないけど、押し付けるとダメだよねっていうあれ。
まぁ最後はメンバーの優しさに救われた、「終わりよければ全て良し」タイプのハッピーエンドやった。
それとなんというか、西南のキャラが良過ぎたのに対し、北のキャラが薄過ぎたのが少々気になるな。
西のくるみちゃんはめっちゃ可愛い。明確に一番人気な娘やったと思う。
南の蘭子は良い娘。メンバーを纏めてたのは実際蘭子やし、メンバーのサポートとか、話を聞いたりとか。気遣ったりとか。ただ、東のことも信頼した上でめっちゃ気遣ってて、そして超絶フッ軽好奇心旺盛であり、ついでにメンタルも強かったから、くるみちゃんと美嘉のメンタルがブチ壊れる前に止めることは出来んかったんやろうな。蘭子は多分、話の途中でも「流れに身を任せておけば」って言って通り、そうやって生きてきたんやとおもう。今までは流れに身をまかさて無難に生きてきたけど、東っていう不規則で変な流れに乗ってみたら楽しかった、っていう。だからこそ東のこと信頼してたんやろな。その流れた先でやりたいことも見つけたし。この話の中で一番、というか最早主人公みたいな起承転結持ってる。
それ対して美嘉は、ボランティアやったり、スキャンダル起こしたり、主人公の過去を知ってたりと存在として、舞台装置としては必要なキャラではあったけど、それ以上の存在ではなかったように思う。結局どういうキャラやったのか、もイマイチ。
単純に主人公がマジでメンバーに興味なかったのと、西南が既に関係性を築いてしまっていたっていうのもあって「ほぼ空気」みたいなところがあったってのもあるけど。可哀想でちょっとキツかったな。
作画とかはよかった。まぁ流石Clover Worksやな。
書いてると結構ダメ出しばっかりやけど、悪い映画ではなかったと思う。
ちょっと気になるならとりあえず行ってみるのがいい。
まぁこの記事読む人がいたならそれはもう大抵観た人な気がするけど。